私はどう転んでも、隊長には勝てないのかな。
あんたのことも、あきらめなきゃ駄目なのかな。





消えないで






愛しいの。
とっても。

好き…って表現じゃ表せれないほど、あんたが好きだよ。


「…!ねぇ聞いてる?乱菊さん…」
「うん。……で?何だっけ?」
「も―――っ!!聞いてないじゃん。だから、日番谷くんの……」


そうか。隊長の話をしてたから、私は空を眺めてたんだ。


今更ながらに、雛森の話を無視してた意図を確認していた。
楽しそうな顔してるなぁ。
隊長のこと話すときは、いつもこれだ。
でも…それでも、雛森の言動が。
雛森の仕草が。
雛森の表情が。
雛森の全部が、
愛しいと思えてしまう。

私についての話じゃないけどね。
そこが、一番悔しかった。
でも、それでも、私は愛しいと思えてしまう。
何だろう。
この気持ちは…








見渡す限り、桃の花があった。
桃の花の並木道。
気付くと私は一人で、そこに立っていた。


「……綺麗ねぇ……」


素直にそう、思えた。
淡いピンク色が、ずっと続いていた。
涙が出そうだった。
あまりに綺麗で、雛森を連想してしまったから。


「桃……どこに居るの……?」


どこにも居ない、彼女を思う。
桃の花を見ながら思う。


「夢なら夢を観せてよ!!私に、幸せな夢を……」



覚めないで!って思うくらいの夢を、見せてと。

雛森に逢わせてと。


幾度と無く思った。

何故、すぐ夢だと分かったのか。
不思議だったけど。


「乱菊さん」
「…………ひっ…雛森………?」


逢わせて。
逢わせてと思っていたら、本当に雛森が出てきた。


「雛森!」


私は雛森の方へ走った。
どんどん距離は縮んでいく。


手が届きそうになった時、雛森がふっと消えた。



「………なんで?なんでよぉっ………」


私はその場にしゃがんだ。
もう、立つ気力もなかった。






「…さん……乱菊さん………乱菊さん」


遠くで、雛森の声がした。
だんだんその声は近づいてくる。













私は目を開けた。
その場所は桃の木の並木道ではなく、只の芝生の上。


「雛森……?…」
「も―――っ乱菊さん、寝ないでくださいよ―――っ!」


私は本当に寝ていたようだ。
雛森が近くに居て、涙が出そうになった。


「雛森ぃ―っ」
「乱菊さん!!?」


私は雛森に、抱きついた。
もう、消えてほしくないから。


「……怖い夢でも見ましたか?」


はじめは驚いていたが、今は、私の背中を擦ってくれている。


「…消えないでね…」
「え?」
「消えないで…雛森……」


意味が分からなかっただろう。
だけど、雛森はちゃんと、私に答えてくれた。


「………消えませんよ。私はここにいます。」






涙が止まらなかった。





あんたがここに居る。

それだけで、幸せを感じたから。







































後書き――――
乱桃。第2段。
えぇ。いかがでしたでしょうか。
今回も、ずっとためていたのを、少し手直ししただけなんです。
ごめんなさい。なんか、意味不明です・・・(´;ω;`)
とにかく、今回は、触れ合いが合ったと言う事で(え
また、感想とか聞かせてくださると、嬉しいです。
2006/11/03 狸作
p.s.
upが遅くなって、すみませんです。。