ほら。聞こえる
貴女の凛々しい声が



ほら。聞こえる
貴女の笑い声が



ほら。聞こえる
貴女が私を呼ぶ声が







甘い

甘い貴女との思い出が 次々と思い出される





夜一様…


貴女は私との思い出を 忘れてしまったのですか?







Cat and Bee That were sweet days that thought honey. version:bee
任務が終わったある日。 私はいつものように夜一様に呼ばれた。 外は、蝉がミンミンとうるさく鳴いていた。 「お呼びでしょうか。夜一様。」 私は、夜一様の部屋の前まで行って言った。 「砕蜂」 夜一様は、勢いよく、襖を開けた。 「祭りに行くぞ!」 「・・・・・え?」 夜一様は、紅色の素敵な浴衣に、白で紺の刺繍が入った帯をお召しになっていた。 私は、黒色の刑戦装束と副章を身に着けていた。 「さぁ!砕蜂!!着替えじゃ!」 「えっえぇぇえ!!!?夜一様!!?」 私は夜一様に、腕をつかまれ、部屋へと引きずられていく。 部屋は、とても綺麗に片付けられていて、箪笥や机が置いてあった。 棚の中には、多くの本がところ狭しと入っていた。 夜一様は私を、畳の上に座らせ、箪笥を探り出した。 「・・・・儂のお古で悪いがのぉ・・・・・お主に似合いそうなのがあるんじゃ。」 よっ・・・・夜一様のお古!!!!!!!!????????? 私が着てもよろしいのですか!!!!!!!!????????? 私は、突然のことで、理解ができていなかった。 何故、夜一様の部屋に居るのか。 何故、今着替えさせられているのか。 理由も、意味も取ることができなかった。 数分後。 私は、すっかりと、夜一様が幼少の頃着ていたという、浴衣に身を包んでいた。 夜一様の・・・夜一様の・・・・ 恐れ多いくて、本当にこれで歩くことができるのだろうかと言うほど、緊張していた。 「やっぱりのぉ!よう似合う!!」 「よっ・・・・夜一様??・・・・・」 「あ!そうじゃのぉ!ほれ。見てみろ。砕蜂」 「・・・・・えっ・・・・」 大きな背鏡を、私の方に向けてくださった。 私はその大きな鏡に映っている私を見た。 それは、もう、息を呑むほどの美しい、着物を着た私が居た。 深い紺色の上に、鮮やかな黄色、紅、深い緑…… すごく、綺麗で、私が着物に着られて居たという感じだった。 「やっぱりのぉ!良く似合って居るぞ砕蜂!」 「えっ・・・あっありがとうございます・・・・」 でも、やっぱり、私には似合わないんじゃないだろうか。 そう、思っていたら、夜一様にはお見通しなのだろうか。 こう、私に言ってきた。 「…儂には、その浴衣は似合わんのじゃよ。」 「??」 突然、何を仰るんだろう。 貴女に似合わない着物なんて、この世にあるわけが無いでしょう。 私は、心の中でそう、つぶやいた。 だって、実際にいえないでせう?こんなこと。 悲しそうな目で、痛そうな目で、そういわれたら、何もいえない。 「さぁ、支度ができたな!行くぞ!!」 「はい!」 夜一様は、私の手を取り、繋いだ。 「逸れぬように、付いて来いよ。砕蜂・・・」 「はっはい!夜一様……」 そう、言って強く笑った貴女の顔を覚えている。 そう、言って強く引いていく貴女の手の感覚を覚えている。 夜一様・・・何故置いていったんですか? 『付いて来い』と言われたことは、本当に、嬉しかった。 しばらく、歩くと、出店が陳列している、通りに出た。 多くの者が、その場所に居た。 「夜一さん!これ食べてってくださいよ〜!!」 そう言って、イカ焼きを売りつけようとする、十二番隊隊長。 「お主の焼くイカ焼きはイマイチ信用できんのぉ。。喜助。」 「そう言わずに〜。あ!砕蜂ちゃんもいかがっすか?」 「結構」 「二人とも、つれませんねぇ。」 浦原喜助…私は、こいつが嫌いだ。 何かにつけて、夜一様夜一様と……… 貴様の夜一様ではないぞ!! 私は、心の中で啖呵を切ってやった。 「砕蜂?何が食いたい??」 「えっ!!?」 「今宵は、儂がおごってやるぞ?何がいい?」 「えっいっいいですよ!!?自分で払いますっっ」 突然の言葉に、心臓が出て来そうになった。 「いいから!何が良いんじゃ?」 「・・・・・では・・・・氷が良いです・・・・・」 「良し!」 今日は、少しだけ、夜一様に甘えてみることにした。 夜一様は本当に面倒見がいい。 私はそんな夜一様が好きだった。 私の氷は、『イチゴ味』。 夜一様の氷は、『檸檬味』だった。 「どうじゃ?」 「おいしいです。ありがとうございます!」 「ありがとうついでに、一口くれるかの?」 「どっどうぞ!」 私の氷を、夜一様は、一口分スプーンですくって食べた。 「甘いのぉ〜イチゴは・・・」 「そうですかね?」 「じゃぁ、こっちも食べてみろ。」 「えっいいんですか?」 「いいから、言っておるんじゃろうが。ほれ。」 「!!////」 先ほど使っていた、スプーンで檸檬味の氷を、私の口にほおり込む、夜一様。 「どうじゃ?甘くないじゃろ?」 「・・・・はい・・・・」 味なんて、わからなかった。 只、顔が、火が出るほど紅いだろうと、簡単に想像ができた。 恥ずかしかったのもあるが、嬉しかったのもある。 「イチゴは甘いのぉ。」 「・・・・」 私たちは、並んで、歩き出した。 さまざまな出店を眺めながら。 私の顔の色は、未だ赤かったろう。 「砕蜂。林檎飴食うかの?」 「えっはっはい!」 上手く、夜一様の顔が見れなかった。 それは、顔を見られて、恥ずかしいとか、照れくさいとかあったけれど、 なにより、夜一様の行動一つ一つが、言動ひとつひとつが、嬉しかったから。 「砕蜂!!見てみろ!!」 「わぁっっ」 ドォンと、大きな音共に、大きな火の花が咲く。 色とりどりの花火が散っていく。 本当に、嬉しかった。 本当に心から幸せな気持ちになれた。 甘い。甘い日。 それは、蜂蜜のように。


←戻進→