小鳥が鳴く声で梢綾は目をさました。


昨日は、自分の部屋では寝れないので、乱菊の部屋に布団を敷いて寝た。

時計はもう7時を回っていた。



「おい。乱菊。朝だぞ。」



乱菊が寝ているベットに向かっていた。



「ん――――っ解ってるぅ…」



そう言ったので、梢綾はリビングへ降りていった。

リビングには既に市丸が起きていて、朝食の支度をしていた。



「あ。おはようさん。砕蜂ちゃん」

「ああ。おはよう」



朝食が出そろうのを待って、梢綾は食事ひ始めた。



「今日も学校やね。乱菊と行くん?」

「あやつの支度が出る頃に出来ればな…」



梢綾は2階を見上げながら言った。



「あははっさいか。乱菊は寝坊の常習犯やからなぁ〜」

「まったく…あんなのではいけないぞ…」



梢綾は早々に食事を終わらせ、学校へ行く支度をした。
乱菊の部屋を出る前に声をかけた。




「早くしないと遅刻するぞ?」

「先行っててぇ……zzz」




(まったく…)




梢綾は部屋のドアを締めて家を出るため玄関へ行った。



「行ってらっしゃい。砕蜂ちゃん」

「解ってるだろうが…私の部屋を帰るまでに直しておけ」

「わっ解ってるよそれくらい…」



明らかにうろたえていた市丸は、覚えていなかったようだ。



「覚えてるならいいけどな。」



睨みを効かせて、梢綾は家を出た。


















学校までは、徒歩20分。

そんなに近いわけでも、遠いわけでもない。





「あ!梢綾ちゃんおはよ〜」

「おはようございます」

「おっおはよう…」




一人で行っていると、やちると七緒に出くわした。

2人は一緒に登校しているようだ。




「梢綾さんはこの辺りなんですか?」

「あぁそうだ…」

「そうなんだ〜!しんせきのお家にすんでるの?」


「うん…血のつながりは直接無い、遠い親戚の家に今居る」




周りには徐々に空座町女学校の制服を着た生徒が増えてきた。



「そうなんだ〜」

「2人はいつも一緒に学校に行ってるの?」

「うん!そ〜だよ〜」

「そうなんです。なんせ家が隣なもので…」

「そうなんだ!それはすごいな…」




七緒は苦笑しながら言った。




「幼稚園、小学校、中学校、高校と…全部同じなんですよ。しかもずっと同じクラス…」



七緒の目にうっすら涙が見えた。



「そうなんだよ〜!あたしたち、すごく仲良しなの〜」



ね〜っと七緒の方をみて顔を傾げながら微笑む。

七緒も仕方なく微笑む。




(この人はずいぶん苦労しているんだなぁ…)




ご愁傷様と、心の中でつぶやいた。
























学校についたとたん、様々な人が梢綾の周りによってきた。



「貴方?留学生って…」

「お友達になろ〜」

「中国ってどんなところなの〜?」

「ちょっ通してくださいっ」

「も〜っそんなにいっぺんに話し聞けないし〜!聖武天皇じゃないんだから〜っ」

「委員長!それを言うなら聖徳太子です!」





梢綾とやちると七緒は周りの生徒にもみくちゃにされ、身動きが出来なかった。
前に進むことも後ろ退くことも全く出来ない。


正門から下駄箱までの道の真ん中にこの人溜まりが出来ている。

とても迷惑である。




「何を騒いでおるのじゃ」



突然声がかけられた。




梢綾ははっとした。




その声の持ち主が…




「よっ夜一お姉様!」



四楓院夜一だったからである。



「いったい何事だ。この騒ぎは…」



夜一が分け入ると、周りの生徒は黙り、道をあけた。

夜一は梢綾たちの傍まできた。




「おはよう。梢綾」

「おっおはようございますっ」




梢綾は随分緊張しているようだ。




「ほれ。皆。時間を見んか。もうすぐ予鈴がなるぞ?」



夜一の言葉で時間をみた生徒は、「あら、大変だわ」と自分の教室へと急いでいった。



「とんだ災難じゃったのぉ。」



梢綾の方を見ながら言った。
慌てて梢綾は頭を下げる。



「あっありがとうございました!」

「礼には及ばんよ。それより今日の昼、一緒に食べんかのぉ?」

「えっ」




梢綾の顔は見る見る赤くなっていった。



「はっ…ごっごっご一緒して宜しいんですか?」

「当たり前じゃ。梢綾。お主何組かの?」

「びっびっB組です」

「わかった。じゃぁ昼休みにな」

「はっはい!」




夜一は歩いて先に校舎に入ってしまった。



取り残された梢綾とやちると七緒はボーっと固まってしまっていた。


3人は予鈴が鳴ってから教室に急いだ。

















第三部完












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